愛知県で実務者研修の費用を補助してくれる制度とは?返還免除の条件も解説

介護福祉士実務者研修

愛知県で実務者研修の費用を補助してくれる制度とは?返還免除の条件も解説

実務者研修を取りたいけど費用が高くて…

今すぐに受講料を払うことができない…

といった方には、自治体の補助・助成制度を利用するといった方法もあります。

愛知県では、介護福祉士を目指して実務者研修を受講する方に対して必要な資金をサポートする介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度が利用できます。

要件を満たせば全額返還免除になるので、介護職でキャリアアップしながら働きたいと思っている方におすすめです。

この記事では、愛知県で利用できる介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度の概要、申請方法、返還免除になる条件、利用する際のメリット・デメリットなどについて詳しく解説しています。

介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度とは

第29回(平成28年度)介護福祉士国家試験から、実務経験ルートにおいて、実務経験3年以上に加えて実務者研修修了に受験資格が改正されました。この改正の反動で、第29回の受験者数は約76,323人と前年の152,573人から半減しました。

翌年度は9万人台となり少し持ち直しましたが、第32回以降は8万人台から7万台にまで減少し、受験者数の減少に歯止めがかからない状態になっています。

この減少傾向の一因となっているのが、実務者研修の受講料です。

以前に比べると安くなりましたが、無資格の方の受講料は8万円台後半〜18万円台、初任者研修を持っている方で7万円台〜11万円台と費用負担が大きく、介護福祉士の資格取得をあきらめる人が多くなったことが受験者数の減少傾向の一因と考えられています。

このような背景から、国と都道府県自治体が介護福祉士資格取得の負担軽減措置のひとつとして打ち出したのが、介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度です。

要件を満たせば全額返還免除となります。

愛知県では、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会福祉人材センターが主体となって実施しています。

貸し付けの概要

上限を20万円として、実務者研修を受講している期間にかかる費用を無利子で貸し付けしてくれます。貸付の申請後、約1ヶ月から1ヶ月半後に振込されます。

  • 貸付金額:20万円以内
  • 貸付内容:実務者研修受講料・教材費・国家試験受験手数料・その他必要経費
  • 貸付期間:実務者研修スクールの受講期間
  • 貸付時期:申請後約1ヶ月〜1ヶ月半

貸し付けの対象者

貸し付けの対象者は以下の条件をすべて満たした方になります。

  • 愛知県内の介護福祉士実務者研修のスクールに在学している
    • スクールからの推薦が必要です
  • 介護福祉士の資格取得のために介護福祉士国家試験を受験する予定がある
  • 実務者研修修了後に愛知県内の介護施設等にて働く意思がある

全額返還免除になるには?

以下の条件をすべて満たすと、貸付金が全額返還免除となります。

  • 実務者研修スクールを卒業した日から1年以内に、介護福祉士国家試験に合格し資格登録する
    • 実務者研修スクールを卒業した時点で、受験資格である実務経験が3年に達していない方は、実務経験が3年に達した日から1年以内
  • 愛知県内において、介護福祉士として2年間(介護福祉士資格の登録年月日又は介護業務に従事した日どちらかの遅い日から従事日数360日以上)介護等の業務に従事する
  • 返還当然免除申請書を提出し、免除決定通知を受ける

全額返還免除の申請提出書類

全額返還免除の申請には、それぞれのタイミングで以下の書類を提出します。

  • 実務者研修が修了してスクールを卒業したとき
    • 養成施設等卒業届
    • 卒業(修了)証書等のコピー
  • 介護福祉士の資格を登録したとき
    • 介護福祉士等登録届
    • 登録証のコピー
  • 介護職として働いているとき
    • 指定業務等従事届【新規】
    • 指定業務等従事届【継続】(毎年4月)
  • 介護職として2年間働いたとき
    • 修学資金等返還当然免除申請書
    • 指定業務等従事期間証明書(勤務先で証明)

申請書類が受理されれば、借用証書が戻されます。

返還しなければいけないときは?

スクールを途中で辞めてしまったり、心身の不調によって実務者研修の受講が困難になったとき、本人が死亡したときは貸付金を返還する必用があります。

また、スクールを卒業した日から1年以内に介護福祉士として愛知県内において介護等の指定業務に就かなかったり、介護等の指定業務に就いてから2年以内に辞めてしまったときも返還しなければいけません。

貸付金を返還するときの手続き

貸付金を返さなければいけない事由ごとに以下の書類を提出します。

  • スクールを退学などで貸付契約を解除するとき
    • 修学資金等返還明細書
  • 心身の故障により全額返還免除の条件を満たせないとき
    • 修学資金等返還明細書
    • 修学資金等返還裁量免除申請書
  • 業務外での本人が死亡したとき
    • 修学資金等返還明細書
    • 修学資金等返還裁量免除申請書
  • 介護福祉士国家試験の5回目までに合格できなかったとき
    • 修学資金等返還明細書

延滞利子がつく場合

返還する貸付金は原則無利子ですが、正当な理由がなく返還期限を過ぎた場合には、延滞利子がつきます。

延滞利子は、返還額に延滞した日数に応じて年3%の割合で計算されます。

1年以上指定業務で働いた方は返還の一部が免除になる

介護等の指定業務に就いてから2年以内に辞めた方は、全額返還免除とはなりませんが、1年以上働いた方は、一部免除、一部返還となります。

裁量免除申請書が受理され、残りの返還が終了すれば借用証書が返ってきます。

以下の書類を提出して申請します。

  • 修学資金等返還裁量免除申請書
  • 指定業務等従事期間証明書
  • 修学資金等返還明細書

一部免除される金額

従事期間(月数)÷24×貸付額(四捨五入)=一部免除額

例えば、15ヶ月働いて20万円借りていた場合は、15ヶ月(従事月数)÷24×20万円(貸付額)=12,5000円が一部免除額になります。

貸付額の20万円から一部免除額の12,5000円を差し引いて、残りの75,000円を返還することになります。

返還を猶予してもらえるケースもあります

産休や育休中、災害、疾病、負傷その他やむを得ない事由がある、介護福祉士国家試験に不合格だった、これらの理由で貸付金を返還しなければいけなくなった方は、返還裁量猶予申請書を提出することで、返還に猶予を申請できます。

修学資金等返還裁量猶予申請書に理由を証明する書類を貼付して申請します。

  • 産休・育休中
    • 産休・育休中の証明書を添付 (母子手帳等)
  • 災害、疾病、負傷その他やむを得ない事由
    • やむを得ない事由の証明書(医師の診断書等)
  • 介護福祉士国家試験に不合格
    • 最長5回目の受験まで猶予が可能です

申請から貸付までの流れ

貸付の申請

介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度を利用するには、実務者研修を受講するスクールを通じて申請します。

申請には、スクールの推薦が必要になります。(スクールが作成した推薦状を提出します)

研修修了後に申請することはできませんので、受講申込みの際に実務者研修受講資金貸付制度を利用したい旨を伝えましょう。

申請に必要な書類の提出

申請に必要な書類には、スクールが作成するものと本人が作成・準備するものがあります。

ここでは、本人が作成・準備するものをご紹介します。以下の4つが必要になります。

  • 貸付申請書
  • 保証書兼誓約書
  • 申請者及び連帯保証人の印鑑登録証明書
  • 本人名義の預金通帳のコピー

保証書兼誓約書には、本人の署名・押印以外に連帯保証人の署名・押印も必要になります。(※押印は印鑑登録証明書の印鑑)

連帯保証人は、原則として愛知県内に住所があり、保証能力のある方手ある必要があります。両親、配偶者でも連帯保証人として可能です。

しかし、貸付申請する方が未成年者である場合の連帯保証人は、法定代理人を立てる必要があります。

連帯保証人は、貸付を受けた方の債務を連帯して保証することになるので、しっかりと内容を説明してお願いしましょう。

本人名義の預金通帳のコピーは、口座番号等が分かる部分だけのコピーで大丈夫です。

実務経験が3年未満で、研修修了後初めての国家試験を受験できない場合には、働いている事業所からの推薦状も必要になります。

本人または連帯保証人が外国人の方は、在留カードのコピーの提出も必要になります。

貸付決定

申請書類が適正と判断されれば、スクールへ貸付の決定通知書が送付されます。

借用証書の提出

貸付決定の通知を受けてから、15日以内に修学資金等借用証書を提出します。

借用証書には、貸付金額に応じて収入印紙の貼付と本人と連帯保証人の割印が必要になります。

  • 収入印紙
    • 10万円以下は200円
    • 10万円超からは400円

貸付金の振込

借用証書の提出後、およそ1か月から1月半で申請者の口座に貸付金が振込されます。

介護福祉士登録届の提出

介護福祉士国家試験を受験して合格し、介護福祉士資格の登録をすると介護福祉士登録証が交付されます。

介護福祉士登録届に介護福祉士登録証のコピーを貼付して提出します。

指定業務等従事届の提出

  • 介護福祉士登録証を取得したときすでに介護等の指定業務に就いている方
    • 介護福祉士登録届と指定業務等従事届を一緒に提出することができます。
  • 介護福祉士登録証を取得したときにまだ介護等の指定業務に就いてない方
    • 先に介護福祉士登録届を提出し、介護等の指定業務に就いたときに指定業務等従事届を提出します。

介護福祉士登録証を取得したときすでに介護等の指定業務に就いている方は、介護福祉士登録届と指定業務等従事届を一緒に提出することができます。

介護福祉士登録証を取得したときにまだ介護等の指定業務に就いてない方は、先に介護福祉士登録届を提出し、介護等の指定業務に就いたときに指定業務等従事届を提出します。

2回目以降は毎年4月1日の状況を4月30日までに提出する必要があります。

実務者研修修了後まだ介護等の指定業務に就いていないが、1年以内に指定業務に就く意思がある方は、先に指定業務等従事延期届を提出し、指定業務に就きしだい指定業務従事届を提出します。

申請内容に変更があったときの手続き

申請内容に変更があったときには、速やかに事由ごとに以下の書類を提出します。

  • 本人または連帯保証人の氏名、住所に変更があったとき
    • 住所・氏名等変更届
  • 貸付金の振り込まれる前で貸付を辞退する場合
    • 修学資金等辞退届
  • 連帯保証人の死亡等により連帯保証人を変更するとき
    • 保証書兼誓約書
  • 指定業務に従事する施設を退職し変更したとき(※退職後、1か月の間に指定業務に従事しない場合は返還となります。)
    • 指定業務等従事期間証明書
    • 指定業務等従事届(新規)
  • 本人が死亡したとき
    • 死亡届
    • 修学資金等返還明細書
    • 業務上での死亡の場合:修学資金等返還当然免除申請書
    • 業務外での死亡の場合:修学資金等返還裁量免除申請書
  • 勤務していた指定業務を退職したとき
    • 指定業務従事期間証明書

本記事は、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会福祉人材センターの介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業の概要を参考にしています。詳細および提出書類などは、介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業のページでご確認ください。

介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度のメリットとデメリットは?

実務者研修受講資金貸付制度は愛知県の事業であるので安心感があります。条件を満たせば返還還免除になるなどメリットもありますが、返還免除になる条件が厳しいなどのデメリットもあります。

以下にメリットとデメリットをまとめていますので、利用する際の参考にしてみてください。

ボタンクリックで切替ります↓

  • 申請手続きが煩雑
  • 連帯保証人が必要
  • 全額返還免除になる条件が厳しい

申請手続きがめんどうだったり、連帯保証人を立てるのが難しい、実務者研修だけでいいといった方には、かいご畑のキャリアアップ応援制度を利用して働きながら実務者研修を取得するといった方法もあります。

かいご畑のキャリアアップ応援制度については、以下の記事をご覧ください。


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