介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修を受講したいけど、受講料が高くて躊躇している方も多いのではないでしょうか?
特定一般教育訓練給付制度の対象講座では、支払った受講料の最大50%(40%+追加支給10%)がハローワークから支給されます。
ここでは、特定一般教育訓練給付制度の給付要件、給付手続きなどについて詳しく解説しています。
特定一般教育訓練給付金とは?
特定一般教育訓練給付制度は、働いている方の早期キャリア形成、離職した方の速やかな再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。
対象講座
特定一般教育訓練給付制度で受講できる教育訓練は、「特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練」が対象となっています。
- 業務独占資格などの取得を目標とする講座
- デジタル関係の講座
- 大学等、専門学校の課程
介護資格関係では、「業務独占資格などの取得を目標とする講座」になり以下の講座が対象となっています。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士受験対策講座
- 主任介護支援専門員研修
- 介護支援専門員実務研修
- 喀痰吸引等研修
- 福祉用具専門相談員
給付額について
給付要件を満たした方が、特定一般教育訓練の対象講座を受講・修了した場合、自ら負担した受講費用の最大50%(40%+追加支給10%)がハローワークから支給されます。(4千円未満は支給されません)
- 教育訓練給付金の対象額は入学金と受講料のみで、資格試験の受験費や講座までの交通費、補助教材費などは含まれません。
- スクールの割引制度を利用された場合の教育訓練給付金の対象額は割引金額を差し引いた後の金額となります。
受講経費の40%
給付要件を満たした方が、特定一般教育訓練の受講修了後に一律で給付されます。年間上限は20万円です。
追加支給の10%
以下の要件を満たした方は追加支給として受講経費の10%が支給されます。年間上限は5万円です。
- 離職している方
- 特定一般教育訓練を修了し、特定一般教育訓練に係わる資格を取得し、訓練修了日の翌日から起算して原則1年以内に雇用保険の一般被保険者として雇用されること
- 在職中の方(一般被保険者として雇用されている)
- 特定一般教育訓練修了日の翌日から起算して原則1年以内に特定一般教育訓練に係わる資格を取得すること
2024年10月以降の特定一般教育訓練給付金の給付率を引き上げるための法改正が行われました。
給付を受けるには
特定一般教育訓練給付を受けるには、雇用保険の加入期間などの給付要件があります。(パート・アルバイトや派遣労働者の方も対象です。)
働いている方(雇用保険に加入している)
在職中(受講開始日時点)で雇用保険に加入している方は、初めて教育訓練給付を受けようとする方と今までに教育訓練給付を受けたことがある方では給付要件が異なります。
- 初めて教育訓練給付を受けようとする方
- 雇用保険の加入期間が1年以上ある
- 今までに教育訓練給付を受けたことがある方(いずれにも該当すること)
- 前回の受講開始日以降、雇用保険の加入期間が3年以上ある
- 前回の支給日から今回の受講開始日までに3年以上経過している
離職して受講開始日まで1年以内の方
離職して受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合は、最大20年以内)の方が対象になります。
初めて教育訓練給付を受けようとする方と今までに教育訓練給付を受けたことがある方では給付要件が異なります。
- 初めて教育訓練給付を受けようとする方
- 雇用保険の加入期間が1年以上ある
- 今までに教育訓練給付を受けたことがある方(いずれにも該当すること)
- 前回の受講開始日以降、雇用保険の加入期間が3年以上ある
- 前回の支給日から今回の受講開始日までに3年以上経過している
適用対象期間の延長とは
離職して受講開始日までが1年以内の方が、受講開始日において妊娠、出産、育児、疫病、負傷などの理由により引き続き30日以上受講開始ができなくなった場合には、ハローワークに「教育訓練給付適用対象期間延長申請書」を提出することで、適用対象期間を受講開始できない日数分(最大20年)延長することが可能です。
ハローワークで配布される「教育訓練給付適用対象期間延長申請書」に必要事項を記入し、本人または代理人(委任状が必要)が持参、電子申請、郵送のいずれかの方法で、本人の住所を管轄するハローワークに提出します。提出期限は、受講を開始できなくなった日の翌日以降から延長後の適用対象期間の最後の日までの間となっています。
給付対象かわからない場合は?
自分が給付要件を満たしているかわからない方は、ハローワークで支給要件照会の手続きで確認することができます。(支給要件照会を行わなくても支給申請は可能です。)
- 受給資格を満たしているか明らかでない
- 離職して1年以内かわからない
- 雇用保険の加入期間がわからない
- 受給資格受講しようとする講座が特定一般教育訓練給付制度の対象講座であるかわからない
このような方は、あらかじめ支給要件紹介手続きで確認しておくことをおすすめします。
支給要件照会手続
ハローワークまたはスクールで配布する教育訓練給付金支給要件照会票に必要事項を記入し、本人・住居所の確認できる書類を添付して、本人の住所を管轄するハローワークに提出します。
本人または代理人(委任状が必要)が持参、電子申請、郵送のいずれかの方法によって提出します。
照会結果は、教育訓練給付金支給要件回答書によってハローワークより通知されます。
本人確認と住居所の確認できる書類(下記のいずれかひとつ)
- 運転免許証
- 住民票の写し
- 雇用保険受給資格者証
- 国民健康保険被保険者証
- 印鑑証明書
- 原本でなくコピーでも可能です。
- 代理人持参の場合は委任状が必要です。
- 電話での問い合わせ(照会)は受け付けていません。
- 郵送申請の場合は、事故防止のため上記書類いずれかのコピーまたは原本の場合は住民票の写しか印鑑証明書に限ります。
給付手続きの流れ
ハローワークの訓練相談窓口に相談
教育訓練の受講について、ハローワークの訓練窓口に相談します。
ジョブ・カード様式またはジョブ・カード活用ガイドを受け取ります。
ジョブ・カードは自身で記入できる事項は事前に記入し、訓練前キャリアコンサルティングで完成させます。
ジョブ・カードとは
ジョブ・カードとは、個人のキャリアアップや多様な人材の円滑な就職等を促進することを目的とした「生涯を通じたキャリア・プラニング」および「職業能力証明」の機能を担うツールです。
厚生労働省が2008年に施行したジョブ・カード制度で活用するために作成されました。プラスティック製のカードではなく、厚生労働大臣が様式(フォーム)を定めたワークシート(書類)です。
ジョブ・カードは以下の3つの様式(シート)で構成されています。(2015年に様式を一新)
- 様式1:キャリア・プランシート(就業経験がある方用)
- キャリア・プラン作成補助シート
- 様式2:職務経歴シート
- 様式3:職業能力証明シート
- 3−1:免許・資格
- 3−2:学習歴・訓練歴
履歴書・職務経歴書と類似した様式ですが、求職者だけでなく学生・在職者も対象者としています。
職務経歴書の様式にはない、過去の就業経験に基づいた自身の価値観、興味、関心、強みなどを記載することで、自らの職業意識やキャリア形成上の問題点を明確にし、職業選択やキャリア形成の方向づけを可能とするものです。
訓練前キャリアコンサルティング
教育訓練の受講を開始する日の原則2週間前までに、訓練前キャリアコンサルティングを受けます。
全国のハローワークに設置しているキャリア形成・リスキリング相談コーナー及び全国47か所のキャリア形成・リスキリング(学び直し)支援センターで受けることができます。実施方法は対面またはオンラインが選択できます。
事前予約が必要で、電話予約もしくはWEBから予約できます。
受講開始日とは
通学コース
全過程を通学で受講する通学コースでは、開講日が受講開始日となります。
※スクールによっては第1回目の講義出席日とあわない場合もあります。
通信コース(自宅学習+スクーリング)
通信コースの場合、第1回目の教材発送日が受講開始日となります。
※開講日にて教材を渡す場合は「教材のお渡し日」が受講開始日となります。
訓練前キャリアコンサルティングとは
職務経歴の棚卸しや自己理解の促進、キャリア形成の方向付けを行って、希望する教育訓練が今後のキャリア形成や再就職に役立つものであるかを、ジョブ・カードを活用してキャリアコンサルティングを行います。
※訓練前キャリアコンサルティングでは、事前にジョブ・カードの作成が必要です。
受給資格確認
受講2週間前までに、本人の住所を管轄するハローワークに必要書類を提出し受給資格の確認を行います。
ハローワークに来所以外にも、電子申請、郵送または代理人による申請が可能です。
※2024年2月1日以降可能になりました
電子申請は「e-Gov電子申請」からできます
受給資格確認時の提出書類
必ず提出する書類
- 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(ハローワークで配布)
- ジョブ・カード(訓練前キャリアコンサルティングでの発行から1年以内のもの)
- マイナンバーカード
- ※マイナンバーカードを持っていない方は以下の両方の書類が必要です。
- 本人・住居所確認書類(運転免許証等)
- マイナンバー確認書類(通知カード、マイナンバーの記載のある住民票の写しのいずれか)
- ※マイナンバーカードを持っていない方は以下の両方の書類が必要です。
該当する場合に提出する書類
- 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
- 郵送または代理人申請の場合は両面のコピー
- 雇用保険の基本手当受給者等であって既に「払渡希望金融機関指定届」を届けている方は不要です。
- 特定一般教育訓練給付再受給時報告
- 過去に専門実践教育訓練給付及び特定一般教育訓練給付を受給したことがある場合に必要です。
- 教育訓練給付適用対象期間延長通知書
- 適用対象期間の延長をしていた場合に必要です。
- 委任状
- 代理人申請の場合に必要です。
受講資格確認通知書の交付
受給資格が決定されると、ハローワークから「特定一般教育訓練受給資格確認通知書」が交付されます。
受講・修了
厚生労働大臣指定の指定する特定一般教育訓練給付の対象講座に受講申し込みをします。
受講申し込みの際に「特定一般教育訓練受給資格確認通知書」と「本人確認書類(運転免許証等)」のコピーの提出が求められます。
受講修了後1週間以内に、支給申請手続きに必要な書類が送付されます。
給付金支給申請(訓練修了後:受講費用の40%)
支給申請手続きは、教育訓練の受講修了日の翌日から起算して1ヶ月以内に本人の住所を管轄するハローワークに以下の書類を提出して行います。
※ただし、申請の時効となる受講修了日の翌日から2年間については申請が可能です。
e-Gov電子申請から電子申請もできます。(2024年2月1日以降可能になりました)
支給申請提出書類
教育訓練実施施設(スクール)が発行する書類
- 教育訓練給付金支給申請書
- 教育訓練修了証明書
- 領収書又はクレジット契約証明書
- 返還金明細書
- 「領収書」又は「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して還付された(される)場合に必要
本人が用意する書類
- マイナンバーカード
※マイナンバーカードを持っていない方は以下の両方の書類が必要です。- 本人・住居所確認書類(運転免許証等)
- マイナンバー確認書類(通知カード、マイナンバーの記載のある住民票の写しのいずれか)
- 教育訓練経費等確認書
- 教育訓練給付金(特定一般教育訓練)受給資格確認通知書
- 特定一般教育訓練給付受給時報告書
- 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
- 委任状(代理人申請の場合のみ)
資格取得した方の追加給付の申請(追加支給10%)
- 離職していた方
- 特定一般教育訓練に係わる資格を取得し、雇用保険の一般被保険者として雇用された日の翌日から起算して1ヶ月以内に本人の住所を管轄するハローワークに必要書類を提出して行います。
- 資格取得前に一般被保険者として雇用されたまたは雇用されている方
- 特定一般教育訓練に係わる資格を取得した日の翌日から起算して1ヶ月以内に本人の住所を管轄するハローワークに必要書類を提出して行います。
追加給付の申請に必要な書類
- 教育訓練給付金支給申請書
- 受給資格確認通知書
- 本人・住居所確認書類
- マイナンバーカード、運転免許証、住民基本台帳カード(本人写真付き)等
- 資格取得証明書類
- 合格証、登録証、免許証、学位証明書等
- 教育訓練実施者の発行する教育訓練経費に係る領収書
- 特定一般教育訓練給付追加給付申請時報告
- 返還金明細書
- 「領収書」又は「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して還付された(される)場合に必要
- 委任状(代理人申請の場合のみ)
給付金の支給
支給申請提出書類をハローワークが受理・審査後に指定の口座に給付金が振り込まれます。
特定一般教育訓練給付の対象講座
特定一般教育訓練給付の対象講座の一例をご紹介します。
介護職員初任者研修
- 資格の大原
- 湘南国際アカデミー
- 介護・看護求人支援センター浜松
- かながわ福祉保健学院
- 藤仁館医療福祉カレッジ
- ケアクリエイト
- ハクビ
実務者研修
- ハクビ(ヘルパー1級修了者・基礎研修修了者)
喀痰吸引等研修(1号・2号研修)
- 未来ケアカレッジ
介護福祉士受験対策講座
- 藤仁館医療福祉カレッジ
福祉用具専門相談員講習会
- ハクビ
一般教育訓練給付と特定一般教育訓練給付の違い
一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金の給付要件は同じです。
異なるところは、「給付内容」、「受講前のキャリアカウンセリングと受給資格確認の有無」になります。また、上記の対象講座のようにスクールによって指定講座が異なるため、「目指せる資格」もスクールによって異なります。