同行援護従業者養成研修とは、視覚障がい者の方(もしくは移動に困難な障がい者)に対して外出援助及び移動に必要な情報を提供するために必要な知識・スキル習得をするための資格です。
同行援護特定事業所加算の人材要件の対象となるため、転職時にも有利になる可能性があります。
ここでは、同行援護のサービス内容、どんな資格なのか、研修内容などについて詳しく解説していきます。
同行援護とは?
視覚障害により、移動に著しい困難を伴う障害者の方が外出する際に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護、排せつ及び食事等の介護、その他の必要な援助を適切かつ効果的に行う障害福祉サービスです。
(障害者自立支援法 第5条4)
同じく障害者の外出支援を行う障害福祉サービスに「移動支援」がありますが、「移動支援」は市町村の事業、「同行援護」は国の事業となります。
同行援護の対象者の基準(障害支援区分)は満たさないが、障害者等であって、市町村が外出時に移動の支援が必要と認められた方は各自治体の移動支援サービスを利用できます。
同行援護のサービス内容
- 移動時及びそれに伴う外出先において必要な視覚的情報の支援、移動に必要な情報の提供(代筆・代読なども含む)
- 移動時及びそれに伴う外出先において必要な移動の援護(目的地での代読代筆なども含む)
- 排泄・食事等の介護その他外出する際に必要となる身体介護
同行援護ができる介護職員の資格要件
サービス提供責任者が同行援護を行うには
2018年4月以降、同行援護を提供する事業所のサービス提供責任者は、同行援護従業者養成研修(一般課程と応用課程の両方)の修了が必須となります。
国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科を履修した者、又はこれに準ずる者は、同行援護従業者養成研修を受講してなくてもサービス提供責任者として認められます。
介護職員が同行援護を行うには
一般課程を修了した介護職員は、同行援護従業者としてサービスを提供することができます。
以下の者は、同行援護従業者養成研修を受講してなくても同行援護従業者として認められます。
- 居宅介護の従業者要件を満たす者であって、視覚障害を有す身体障害者等の福祉に関する事業(直接処遇職員に限る。)に1年以上従事した経験を有する者。
- 国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科を履修した者、又はこれに準ずる者
同行援護のサービスを提供する事業所の人員配置基準
- 2018年4月以降、同行援護を提供する事業所は、同行援護従業者養成研修(一般過程と応用過程)を修了したサービス提供責任者を事業規模に応じて1名以上配置する必要があります。(2014年9月末までの経過措置が2018年3月31日までに延長されました。)
- 従業者(同行援護従業者養成研修一般課程修了者、居宅介護の従業者要件を満たす者であって、視覚障害を有する身体障害者等の福祉に関する事業に1年以上従事した経験を有する者、国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者又はこれに準ずる者)は、常勤換算で2.5人以上(サービス提供責任者を含む)配置する必要があります。
同行援護従業者養成研修の内容
同行援護従業者養成研修には 一般課程と応用課程があります。
一般課程(計20時間) | 応用課程(計12時間) | |
---|---|---|
1 | 視覚障害者(児)福祉サービス(1時間) | 障害・疾病の理解II(1時間) |
2 | 同行援護の制度と従業者の業務(2時間) | 障害者(児)の心理II(1時間) |
3 | 障害・疾病の理解I(2時間) | 場面別基本及び応用技能に関する演習(6時間) |
4 | 障害者(児)の心理I(1時間) | 交通機関の利用に関する演習(4時間) |
5 | 情報支援と情報提供(2時間) | |
6 | 代筆・代読の基礎知識(2時間) | |
7 | 同行援護の基礎知識(2時間) | |
8 | 基本及び応用技能に関する演習(8時間) |
視覚障害者の方、一人ひとり違うと言われる見え方・見えにくさの種類を学んだ上で、食事の介助やドアの開閉、階段昇降などの外出時に必要な移動支援方法を学びます。
周囲の状況を的確に把握し伝えることができる技術は、安全・安心なだけでなく、利用者さんにとって「楽しい外出」に欠かせない支援になります。
一般課程
視覚障がいに関する疾病や心理、代読や代筆の知識、スキルの習得。
応用課程
交通機関を利用した実技演習で実践的な介助方法を学習します。
受講期間目安
- 一般課程:3日間(20時間)
視覚障害者移動支援従業者養成研修課程修了者又は修了予定者が一般課程を受講する場合は,内6時間の受講で可。
- 応用課程:2日間(12時間)
受講費用目安(研修を実施しているスクールの参考例)
- 一般課程:20,000円〜40,000円
- 応用課程:12,000円〜30,000円
各自治体で実施している研修もあります。
受講資格
同行援護に従事する方、又は従事することを希望する方
- 一般課程:年齢・性別問わず誰でも受講できます。
- 応用課程:一般課程を修了している方、及び一般課程修了と同等の資格(重度視覚障害者研修、視覚障害者移動介護従業者養成研修等)
を修了した方が受講できます。
研修修了の認定
研修の全課程を修了後(全日程出席した者)に、修了証明書が交付されます。
研修が導入された背景
同行援護従業者養成研修は、視覚障害者に対して市町村が実施していた地域生活支援事業の移動支援(ガイドヘルプ)サービスが、国の制度である自立支援給付として新たにスタートしたことに伴い、2011年に設置された研修です。
就職・転職に有利な資格
同行援護従業者養成研修の資格取得者は、厚生労働省が示す同行援護特定事業所加算の人材要件の対象となるため、就職・転職時に有利になる可能性があります。
さらに資格手当の可能性も期待できる資格です。
活躍できる職場
ガイドヘルパー事業所、グループホーム、障がい者支援施設、障がい者福祉サービス事業所、同行援護サービスを提供している介護施設など。
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行動援護従業者養成研修については、別記事の「行動援護従業者養成研修とは?どんな資格なのか、研修内容は?」で詳しく解説しています。