行動援護従業者養成研修とは、知的障害者や精神障害・発達障害で行動上困難があり、日常的に介護が必要な方への援護に必要な知識・スキル習得をするための資格。
行動援護特定事業所加算の人材要件の対象となるため、転職時にも有利になる可能性があります。
ここでは、行動援護のサービス内容、どんな資格なのか、研修内容などについて詳しく解説していきます。
行動援護従業者養成研修とは?
行動援護とは、知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等(常時介護を要する方)が、行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ、食事等の介護のほか、行動する際に必要な援助を行う障害福祉サービスです。
(障害者総合支援法)
行動援護従業者養成研修を修了した行動援護従業者がこれらのサービスを行い、知的障害や精神障害のある方の社会参加と地域生活を支援します。
同じく障害者の外出支援を行う障害福祉サービスに「移動支援」がありますが、「移動支援」は市町村の事業、「行動援護」は国の事業となります。
行動援護の対象者の基準(障害支援区分)は満たさないが、障害者等であって、市町村が外出時に移動の支援が必要と認められた方は各自治体の移動支援サービスを利用できます。
行動援護のサービス内容
- 行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護
- 外出時における移動中の介護
- 排せつおよび食事等の介護
- その他の行動する際に必要な援助
- 予防的対応
- 初めての場所で不安定になり、不適切な行動にでないよう、あらかじめ目的地での行動等を理解していただく
- 制御的対応
- 行動障害を起こしてしまった時の問題行動を適切におさめる
- 身体介護的対応
- 便意の認識ができない方の介助
- 予防的対応
行動援護ができる従業者の資格要件
サービス提供責任者が行動援護を行うには
2018年4月以降、行動援護従業者養成研修課程修了者又は強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実践研修)修了者であって、知的障害児者又は精神障害者の直接支援業務に3年以上の従事経験を有する必要があります。
経過処置として2018年3月31日までの間は、居宅介護従業者の要件を満たす者にあっては、知的障害児者又は精神障害者の直接支援業務に5年以上の従事した経験を有することで、当該基準に適合するものとみなされます。
介護職員が行動援護を行うには
行動援護従業者養成研修課程修了者又は強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実践研修)修了者であって、知的障害児者又は精神障害者の直接支援業務に1年以上の従事経験を有する必要があります。
経過処置として2018年3月31日までの間は、居宅介護従業者の要件を満たす者であって、知的障害児者又は精神障害者の直接支援業務に2年以上の従事経験を有するものの場合、当該基準に適合するものとみなされます。
行動援護のサービスを提供する事業所の人員配置基準
行動援護従業者養成研修課程修了者又は強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実践研修)修了者であって、知的障害児者又は精神障害者の直接支援業務に3年以上の従事経験を有するサービス提供責任者を、事業規模に応じて1名以上配置する必要があります。
2018年3月31日までは経過措置として、行動援護従業者養成研修を修了していなくても、居宅介護従業者の要件を満たす者であって、知的障害児者又は精神障害者の直接支援業務に5年以上の従事経験があれば、要件を満たしていることになります。
行動援護従業者養成研修課程修了者又は強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実践研修)修了者であって、知的障害児者又は精神障害者の直接支援業務に1年以上の従事経験を有するヘルパー(従業者)を、常勤換算で2.5人以上(サービス提供責任者を含む)配置する必要があります。
2018年3月31日までは経過措置として、行動援護従業者養成研修を修了していなくても、居宅介護従業者の要件を満たす者であって、知的障害児者又は精神障害者の直接支援業務に2年以上の従事経験があれば、要件を満たしていることになります。
行動援護従業者養成研修の内容
行動援護従業者養成研修には 講義と演習があります。
講義(計10時間) | |
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1 | 強度行動障害がある者の基本的理解(2.5時間) |
2 | 強度行動障害に関する制度及び支援技術の基礎的な知識(3.5時間) |
3 | 強度行動障害のある者へのチーム支援(2時間) |
4 | 強度行動障害と生活の組み立て(2時間) |
演習(計14時間) | |
1 | 基本的な情報収集記録等の共有(1時間) |
2 | 行動障害がある者の固有のコミュ ニケーションの理 解(2.5時間) |
3 | 行動障害の背景にある特性の理解(2.5時間) |
4 | 障害特性の理解とアセスメント(2.5時間) |
5 | 環境調整による強度(3.5時間) |
6 | 記録の基づく支援の評価(1時間) |
7 | 危機対応と虐待防止(1時間) |
合計 | 24時間 |
行動援護事業所のサービス提供責任者及び行動援護業務に従事しようとする方を対象として、知行動に著しい困難を有する知的障害や精神障害のある方が、行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ、食事等の介護のほか、行動する際に必要な援助、障害の特性の理解、社会参加と地域生活の支援を行うために必要な知識・技能の修得を目的とした研修です。
知的障がい・精神障がいの特性や理解を深め、実際の介護のケースを基にした事例検討・分析などをおこない実践的な行動援護技術を身につけます。
受講期間目安(研修を実施しているスクールの参考例)
- 講義と演習:3日間(24時間)
受講費用目安(研修を実施しているスクールの参考例)
- 通学コース:35,000円〜40,000円
受講資格
行動援護に従事する方、又は従事することを希望する方
研修修了の認定
研修の全課程を修了後(全日程出席した者)に、修了証明書が交付されます。
研修が導入された背景
知的障害者等に対する外出時および外出の前後に必要となる支援としての「行動援護」は、平成18年10月から障害者自立支援法に基づく新しい事業体系により、新たな介護給付の一つのサービスとして位置付けられ、本格的に実施が始まりました。
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づく障害福祉サービスの一種であり、介護給付費の支給対象サービスです。
就職・転職に有利な資格
行動援護従業者養成研修の資格取得者は、厚生労働省が示す行動援護特定事業所加算の人材要件の対象となるため、就職・転職時に有利になる可能性があります。
さらに資格手当の可能性も期待できる資格です。
活躍できる職場
行動援護事務所、障害者支援施設、障害者福祉サービス事業所、障害者支援施設(入所系サービス・通所系サービス)、障害者グループホーム、知的障害者、精神障害者への行動援護サービスを提供する訪問介護事業所など。
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同行援護従業者養成研修については、別記事の「同行援護従業者養成研修とは?どんな資格なのか、研修内容は?」で詳しく解説しています。