介護の仕事をしようと思っているけど「生活援助従事者研修」ってなに?
研修を受けたらどんなことができるの?
「生活援助従事者研修」は、2018年4月1日(平成30年)に新設された介護の資格です。
ホームヘルパーとして生活援助をするための基礎的な知識や技術を学びます。
ここでは、「生活援助従事者研修とはどんな研修?」「どんなことをするの?」「研修を修了するとできること」などについて詳しく解説していきます。
生活援助従事者研修とは
従来、訪問介護事業所では、身体介護と生活援助の両方をできる「介護職員初任者研修」の資格が必要でしたが、身体介護サービス(移動・排泄・食事などの介助)と生活援助サービス(掃除・洗濯・調理など)を切り分け、生活援助サービス専門の人材を養成する「生活援助従事者研修」が新たに創設されました。
訪問介護事業所における更なる人材確保の必要性を踏まえ、国(厚生労働省)が創設した介護員養成研修です。
「介護職員初任者研修」は130時間以上の研修が必要ですが、「生活援助従事者研修」は59時間と取得にかかる負担を軽減しながら、担い手の質も確保する狙いがあります。
生活援助従事者研修を取得するとできること
「生活援助従事者研修」を取得すると、生活支援訪問介護員(ホームヘルパー)として働くことができ、身体介助以外の掃除や洗濯、調理、買い物などの「生活援助サービス」を提供することができます。
介護員養成研修課程 | 提供できるサービス |
---|---|
生活援助従事者研修 | 生活援助サービス |
介護職員初任者研修 | 身体介護サービス 生活援助サービス |
生活援助でできる業務
移動、食事の介助や着替えの介助、入浴、排泄介助などの利用者の身体に触れて行う身体介助は生活援助の業務外となります。
身体介護は「介護福祉士」「実務者研修」「介護職員初任者研修」といった介護資格も持ったヘルパーしか行うことはできません。
また、家政婦さんとは違うので、利用者さん以外の家族や来客者のための食事の用意、大掃除、庭の草取り、ペットの世話などは生活援助サービスの範囲外となっています。
生活援助従事者研修の取得方法
「生活援助従事者研修」は各都道府県から指定を受けた研修事業者が行います。
受講資格
年齢、経験を問わず受講できます。
開講日程
年に数回実施となっていますが、実施しているスクールが少ないのが現状です。
受講期間
受講期間は、1日6時間程度の授業で約2週間が平均的な受講期間です。
全59時時間のうち最大29時間は自宅での学習が可能な通信学習となっています。残りの30時間は通学での学習になります。
受講料
無料〜約60,000円程度
※テキスト代等別途必要な場合があります。
各都道府県の指定研修事業者(スクール)、各自治体(自治体が委託開催)ごとに異なります。いろいろと調べましたが、研修事業者によってかなり差があるようです。
自治体 | 事業者名 | 受講料(税込) |
---|---|---|
埼玉県 | HITOWAケアサービス(株) | 24,800円 |
岡山市 | 公益財団法人岡山市ふれあい公社 | 無料 |
大阪市 | 公益社団法人 大阪市シルバー人材センター | 不明 |
東京都 | 現在のところ該当する研修はありません | ー |
秦野市 | 学校法人鶴嶺学園 神奈川社会福祉専門学校 | 無料 |
※指定事業者になっていても、今年度の開講予定がない研修事業者もあります。詳細はそれぞれの研修事業者へ直接お問い合わせください。
取得までの流れ
- 開講
- 自宅学習
添削レポートを全て提出し、合格点をクリアすること - 修了評価(30分程度の筆記試験)
- 修了証の交付
研修修了の認定方法
1.所定の添削レポートを全て提出し、合格点をクリアすること(合格点は地域により異なります)
2.指定された全日程を履修すること
3.修了評価( 筆記試験) に合格すること
上記事項全てを満たした方に、修了証明書が発行されます。修了証明書は全国で通用します。
カリキュラム
生活援助従事者研修は、59時間のカリキュラムで介護におけるリスクや安全確保の方法、コミュニケーションの取り方、認知症や高齢者の心と体に関する知識など、介護の基礎知識と技術を講義と演習で身につけます。
項目 | 科目 | 時間数 |
---|---|---|
職務の理解 | 1.多様なサービスの理解 2.介護職の仕事の内容や働く現場の理解 | 2時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 1.人権と尊厳を支える介護 2.自立に向けた介護 | 6時間 |
介護の基本 | 1.介護職の役割、専門性と多種職との連携 2.介護職の職業倫理 3.介護における安全の確保とリスクマネジメント 4.介護職の安全 | 4時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 1.介護保険制度 2.介護保険制度 3.障がい福祉制度およびその他制度 | 3時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 1.介護におけるコミュニケーション 2.介護におけるチームのコミュニケーション | 6時間 |
老化と認知症の理解 | 1.老化に伴うこころとからだの変化と日常 2.高齢者と健康 3.認知症を取り巻く状況 4.医学的側面から見た認知症の基礎と健康管理 5.認知症に伴うこころとからだの変化と日常生活 6.家族への支援 | 9時間 |
障害の理解 | 1.障がいの基礎的理解 2.障がいの医学的側面、生活障害、心理・行動の特徴、かかわり支援等の基礎的知識 3.家族の心理、かかわり支援の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術 基本知識の学習:1〜3 生活支援技術の学習:4〜10 | 1.介護の基本的な考え方 2.介護に関するこころのしくみの基礎的理解 3.介護に関するからだのしくみの基礎的理解 4.生活と家事 5.快適な居住環境整備と介護 6.移動・移乗に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護 7.食事に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護 8.睡眠に関したこころとからだのしくみと自立に向けた介護 9.死にゆく人に関したこころとからだのしくみと終末期介護 10.介護過程の基礎的理解 | 24時間 |
振り返り | 1.振り返り 2.就業への備えと研修修了後における継続的な研修 | 2時間 |
修了評価(筆記試験) | 0.5時間程度 | |
合計時間数 | 59時間+0.5(修了評価) |
※59時間のうち通学での時間数は約30時間です。残りは自宅でのレポート学習が可能です。
※こころとからだのしくみと生活支援技術の中で2時間程度の現場実習があります。
キャリアアップしたいと思ったら?
生活援助だけでなく身体介助もして介護士としてキャリアアップをしたいなと思ったら「介護職員初任者研修」を取得するのがキャリアアップの第一歩となります。
「介護職員初任者研修」は無資格で受講する場合、修了まで130時間かかりますが、「生活援助従事者研修」を持っていれば重複するカリキュラムは必要ないので、71時間で修了することができます。
介護員養成研修課程 | カリキュラム |
---|---|
生活援助従事者研修 | 学習時間:59時間 筆記試験による修了評価(0.5時間程度) 講義と演習を一体的に実施する |
介護職員初任者研修 | 学習時間:130時間 筆記試験による修了評価(1時間程度) 講義と演習を一体的に実施する |
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