保険外交員だった奥さん(以下、彼女)が50歳から転職して、宅食のアルバイトをしながら掛け持ちで介護施設で働き、4年近くかけて介護福祉士の資格を取得しました。
現在は訪問介護事業所で正社員となりサービス提供責任者として頑張っています。
50歳から転職して介護福祉士の資格を取得するまでの流れ、必要な実務経験、勉強の仕方、試験の様子など介護福祉士の資格を取るまでの体験談です。
今後、介護福祉士を目指す方の参考に少しでもなれれば幸いです。
介護職未経験の彼女が50歳から転職して介護福祉士になるまで
保険外交員だった妻(以下、彼女)は50歳の時に転職して宅食のアルバイトを始めました。
少し仕事に慣れた頃、同じく退職して介護施設の職員に転職していた元同僚から「土日の人出が足りないから、暇だったらアルバイトをしない?」と打診がありました。
私(旦那)の仕事は不規則なシフト制なので、土日が休みではない時も多々ありました。
宅食のアルバイトは平日のみで土日は休みです。
迷わず面接に行った彼女は、その紹介してもらったデイサービス・訪問介護・住宅型有料老人ホームの介護サービスを運営している介護施設でアルバイトをすることになりました。
介護の仕事の始まり

彼女の介護の仕事のキャリアが始まりました。ほどなく、土日以外に平日の夕方からもアルバイトを頼まれるようになりました。
宅食のアルバイトは午後2時~3時には終わるので、夕方から午後9時ぐらいまで入れます。
自分の空いている時間と私の仕事のシフトを照らし合わせながら、平日、土日の空いている時間にアルバイトに入るようになりました。
宅食と介護のアルバイトを掛け持ちですることになりました。
私は最初、掛け持ちは大変だから、そこまでしなくてもと思っていたのですが、よくよく話を聞いてびっくりしました。
その施設で働いている人達や紹介してくれた元同僚、宅食のアルバイトの方でも、結構掛け持ちで働いている人が大勢いたのです。
空いている時間を無駄に使わない。なかなか私にはできません!
女性はすごいなーと本当に感心しました。
ヘルパー2級を取ることに!
少しずつ介護の仕事にも慣れてきた頃、施設の社長さんから、アルバイト・パートを含む資格を持ってない職員全員に「ヘルパー2級の資格を取ってみない!?」という話がありました。
なにやら資格を取得後に申請をすれば助成金がもらえるから、資格を取るための費用の一部を負担できるということです。
残りは自己負担になりますが、前向に検討できる話でした。
※講座は安いところを探して、6万円かかりました。その内の1万2千円を事業所が負担してくれました。
さっそく、仲間内で相談したところ、同じく掛け持ちでアルバイトに来ている元同僚と、アルバイトはしてないけど介護に興味を持っている2人を加え、計4人で講座を受講する為のスクールに入校しました。
他の職員は違う場所にある通うのに都合の良いスクールに入校しました。
こうして「ヘルパー2級への挑戦」が始まりました。
現在、「ホームヘルパー2級」の資格は2013年3月で廃止され、2013年4月から、「介護職員初任者研修」になりました。
自分の住んでいる地域で介護職員初任者研修を開講してるスクールを探すにはこちら
仲間とスクールに通う
スクールといっても仲のいい仲間同士で行っていたので、ワイワイ、ガヤガヤと料理教室でも通うような感覚で楽しみながら行っていました。
コースは「実技」と一部の「講義」を土日開講のスクーリング、残りの「講義」は添削課題を自宅学習で学べる通信を組み合わせたパターンのコースを選びました。
通学のみのスクーリングのコースに比べると時間はかかりますが、働きながらなのでのんびりと取ることになりました。
※通学講座(スクーリング)では最短で1ヶ月程
※平成25年以降ヘルパー2級は「介護職員初任者研修」に移行しています。
※ヘルパー2級は「訪問介護」の為の資格ですが、施設でも介護職に従事することができます。
ほぼ3ヶ月ほどで講座を終了し、ヘルパー2級の資格を取得することができました。
さらに資格を取得したことで、時給を上げてもらいました。
ただこれは、資格を取れば、どの施設でも一律に上がるということではなく、会社の配慮によるところが大きいようです。
一緒に受講した4人のうち、2人は現在も介護職には就いていません。
ヘルパー2級は家庭内の介護にも活かせる資格なので、将来自分の親の介護が万一必要な時のことを考えて受講しました。
もう1人は土日のみのアルバイトなので、実務者研修が受験資格に追加される前に従事日数を満たすのが難しい状況でした。
このまま働きながら、従事日数を満たす頃を見計らって実務者研修を受講、介護福祉士の資格取得を目指すことになりました。
でも、ヘルパー2級を取得したことで、アルバイトの時給が上がったので取った甲斐があったようです。
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介護福祉士試験の受験から合格するまで

介護福祉士の資格取得には3年間の実務経験が必要なので、長い道のりが待っています。
しかし、毎日コツコツと仕事をしていたら、気がついたら受験資格を満たすことができそうです。
なぜ、介護福祉士の資格を取得しようと思ったか?
介護の仕事を長く続けるなら、介護福祉士の資格を取った方がいいと思ったからです。
経験や資格があれば、年齢に関係なく働き続けることができる仕事。
給料面、万一の転職でも有利だと思います。
受験資格を満たすためにすること。
受験資格は従業期間3年(1095日)かつ従事日数540日の両方を満たす必要があります。通算して試験前日までに持たせば大丈夫です。
それから受験資格をできるだけ早く満たす為に、今まで以上に積極的にアルバイトのシフトを入れるようになりました。平日、土日にかかわらず、少しの時間でも入るようにしていました。
平成28年度から実務者研修が必須になる為、どうしても平成27年度(第28回)の試験を受験して合格する必要があったからです。
「実務者研修」の費用が割と高額な為、もし受験資格を満たすことができなかったり、試験に不合格になった場合は諦めるつもりでした。
※「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、平成28年度(第29回)介護福祉士国家試験から実務経験ルートによる受験資格は、「実務経験3年以上」かつ「実務者研修修了」の方となります。
実務経験の3年が経ち、従事日数も試験日までにぎりぎりでクリアできる見込みになり、いよいよ受験できるた態勢が整いました。
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受験勉強・試験対策、勉強の方法

筆記試験まで後1ヶ月!いよいよ試験勉強をスタートさせます。
とはいえ、特別なことをするわけでもなくアマゾンで取り寄せた過去問の問題集をパラパラとめくる程度です。
なかなか進みません…。
そうこうしているうちに、ついに一週間前!
過去問の問題集は600問以上あるのですが、半分以下しかやっていません。
とてもこのペースでは終わりそうにありません。
一問一問、解いては正解、不正解にかかわらず、解説を詳しく読んでいました。
これでは、なかなかはかどりません。
アドバイスしてもらった勉強方法で一気に!
そんな時、同じ施設で働いていてすでに介護福祉士の資格を持っている先輩にアドバイスをもらいました。
問題集をやる時は、「不正解の答えの場合の時だけ解説を読んで、正解の場合は読まなくていいよ。」というアドバイスです。
試験は5択のマークシート方式です。
正解が必ず含まれています。
あくまでも試験と割り切れば、どうしてかという答えは必要がないのです。
5択から選ぶことができれば、余分な知識は覚えなくていい。
完璧な答えを求めてはいけません。
正解を選ぶことができればOKです。

彼女は、どうしてかを知るために、解説を読んでいました。現場では役に立つこともありますが、試験勉強では必要がなかったのです。
結局、過去問題集は試験前日までに半分の300問ぐらいしかできませんでした。

試験前日になったところで、アマゾンで取り寄せておいた第28回試験の予想問題(介護福祉士 完全予想模試)に切り替えました。
ここからは試験の為だけの勉強です。

まずは、他の科目に比べて問題の難易度が低いコミニュケーション技術と生活支援技術を覚えることだけに集中します。
科目ページの「勉強のコツ!」の欄を読んで、時間がない場合の方法だけをやります。後は太字の部分だけを読むようにしました。
他の科目も同様に「勉強のコツ!」の欄の「時間がない場合には、」に書いてある部分だけに絞って学習します。通常の業務で覚えたことで、対応できそうなものは省きました。
後はこの本についている完全予想模試の予想問題と練習問題を繰り返し解きました。一夜漬けですが、絞った学習でポイントだけを効率よく覚えることができたようです。
おすすめの介護福祉士国家試験 受験対策問題集
筆記試験当日:平成28年 1月24日(日)
愛知会場は、金城ふ頭にあるポートメッセなごやと名古屋ドームです。
愛知・三重から大勢の人が受験するので、必然的に大きな会場になります。
彼女の試験会場は名古屋ドームです。
同じ施設で働いている同僚とは、別会場になりました。
彼女を車で送って行き、名古屋ドームに8時過ぎに着いた頃には、すでに周辺に人が溢れかえっていました。午前9時から試験会場への入室受付が始まります。
9時25分からは試験の説明。
午前10時より試験が開始されます。
試験時間は午前が10時~11時50分まで。休憩・入室・説明を挟んで午後は13時45分から15時25分までの2部制。トータルで3時間30分、試験問題は120問です。
早く終わったからといって、退室はできません。
通常の合格ラインは60%程度(72点)ですが、問題の難易度で補正されるので、その都度、若干変動します。
さらに、試験科目10科目群すべてにおいて、得点がないといけません。
一部の科目の総得点で60%以上得点していてもダメということです。
帰宅してから、解答速報と自分の答えを照らし合わせてみます。
自己採点では79点。
自分の記憶と違っていることもあるので、自己採点より2~3点は下がる可能性もみて76点ぐらい。
なんとか合格できそうです。
ただ心配なのは、途中で答えがずれていたりすることです。
マークシートなので、気付かないうちに、前後の答えを記し間違えてずれることがよくあるそうです。
こうなるとその個所から全滅になってしまいます。
筆記試験合格の知らせ
筆記試験から1ヶ月近く経った2月21日に実技試験受験票が届きました。
合格です。(2月19日に東京 渋谷より発送)
実技試験の受験が必要な方には、合格・不合格にかかわらず通知が届きます。
(インターネット上の発表はありません。)
※先に研修を受講して、実技試験免除の方には合格・不合格通知は届きません。
実技試験後の3月28日の合格発表(インターネット上の発表あり)を待たなくてはなりません。
今回の合格ラインは71点。
彼女の点数は77点。
ギリギリですが、一夜漬の試験対策に徹した勉強方法が実を結んでなんとか合格しました。
実技試験
※平成28年度 第29回から実務者研修の修了が必須になり、「実務経験ルート」と、「経済連携協定(EPA)ルート」の方は実技試験が免除になりました。
実技試験は3月6日(日)です。
あまり時間がありません。
現行の制度では、筆記試験合格を持ち越すことができません。
実技試験で不合格になった場合は、また一から筆記試験を受験しなければいけません。

来年以降(平成28年度 第29回から)、「実務者研修修了」が必須になる為、今年合格しなかったら諦めるつもりでいるので、何としても合格したいのです。
試験対策は、「介護福祉士 実技試験 過去問題集」を繰り返し読む事と、ネットで動画を探して繰り返し見ました。
すぐに試験日の3月6日(日)になりました。愛知会場は吹上ホールと名古屋ドーム。彼女の会場は吹上ホールです。
今回は静岡、岐阜、三重、愛知から筆記試験に合格した人が集まります。
遠方の方は朝が早くて大変ですが、私が彼女を送って午前8時頃に到着した頃には、すでに多くの人々が会場を目指して歩いていました。
試験時間は5分間。
課題はあらかじめわかったいません。
自分の順番が来て、試験室に入ってから始めて分かります。
いよいよ自分の順番が来ました。今回の課題は移乗。車椅子→車椅子操作→段差越え→椅子でした。
ひとつずつ声かけをしながら進みます。しかし、あまりに丁寧にやりすぎたのか、5分以内で全ての課題を終了することができませんでした。
すごく心配な気持ちになりました。会場を出てから、いろんな情報を集めました。
5分間で実地した内容が課題の半分以上クリアできていれば、大丈夫そうなことがわかりました。
彼女は3分の2はできていたらしいので、間違いが少なければ大丈夫そうでしたが、心配は拭えません。
合格発表

合格発表は3月28日(月)14時。
厚生労働省及び試験センターのホームページにて合格者の受験番号が確認できます。
14時過ぎ、彼女から「合格したよ!」のメールが届きました。
制限時間内に課題をクリアできなかったので、心配でしたがなんとか合格しました。
しばらくして郵送で合格証書が届きました。
合格だと封筒、不合格だとハガキで、その旨の通知が届くそうです。
資格登録は必要書類を提出して申し込む必要があります。
なにもしないと、登録にならないので忘れないうちに早めにすることが重要です。
すぐに申請をして、無事に登録証が交付され郵送で送られてきました。
介護福祉士の資格を取得したその後
介護福祉士の資格を取得してすぐに、アルバイトをしている介護施設の社長さんから、「常勤パートでやってもらえないか?」というお話をいただきました。
月曜日から金曜日の午前9時から午後5時までの常勤パートです。常勤なので、福利厚生は正社員と同じ扱いになるそうです。
正社員だと泊り勤務もやらなくてはいけないので、パートなら昼間の勤務だけでいいとのことでした。今までと違うのは、時給が上がること、社会保険や厚生年金保険に加入できること、仕事内容です。
常勤なので、掛け持ちでやっていた宅食のアルバイトを辞める必要があります。仲間はみんな気の合う人ばかりだったので、寂しい気持ちがありました。
しかしすでに自分の心の中では、決まっていました。周りの人に相談して、最終的に常勤パートとして勤務することになりました。
4年以上続いた掛け持ちのアルバイトに終止符を打ち、7月からは介護の仕事一本で働くことになりました。

介護福祉士の資格を取得して、正社員のサービス提供責任者に
常勤パートとして施設と訪問介護事業所の仕事を兼任して働いていましたが、しばらくして訪問介護事業所で今までサービス提供責任者として働いていた方が退職することになりました。
サービス提供責任者は訪問介護事業所で配置が義務付けられており、訪問介護サービスを行う上でなくてはならない職務なのです。
※サービス提供責任者の資格要件は、介護福祉士、看護師、准看護師、保健師のいずれかの資格を取得していることです。
そこで、白羽の矢が立ち「正社員になってサービス提供責任者」をやってくれないかと社長さんから打診がありました。他の介護福祉士の資格を持っている方にも打診したようですが辞退され、最終的に妻が引き受けることになりました。
常勤パートの時とは仕事内容が変わり、サービス提供責任者としてシフトを組んだり事務作業もするようです。現在は、サービス提供責任者としての事務作業、担当者会議への出席、訪問介護業務、施設の応援など毎日忙しく働いています。
私は彼女に、次は”ケアマネージャー”を目指せとハッパをかけています。
しかし、ケアマネージャーの試験はかなり難しく絶対に受からないからと言って、受けるつもりはない様です。
残念ですが、こればっかりは仕方ないですね!

サービス提供責任者の仕事内容と必要な資格要件についてはこちらの記事が参考になります。
追記
実は、今年(平成29年度)の介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)を受講するつもりでした。
来年(2018年度試験)から受験資格が変わるため、最後のチャンスと思ったからです。
2017年度までの試験では、介護業務に5年以上従事し従事日数900日以上であれば受験できたのですが、2018年度試験からは介護福祉士として5年以上(900日以上)の実務経験があることが受験資格になるからです。
ギリギリ従事日数が足りませんでした。
介護福祉士として5年以上(900日以上)の実務経験の受験資格を得ることができるのは、だいぶ先になりそうです。
残念ながら、その時にただでさえ難しいケアマネ試験を受けるモチベーションがあるかどうか……。
受験資格に実務者研修が必須に!
平成28年度(第29回)から、実技試験がなくなり、実務者研修修了が義務付けされます。
なんか、運転免許に似てますよね!技能(実技)は教習所(研修施設)で取得、学科試験(筆記試験)は公安試験で…!?
今後、介護福祉士を目指す方には、実務者研修の費用負担が重しになります。でも介護の仕事を続けていく上で、取った方がいい資格には変わりありません。
介護職未経験の保険外交員だった彼女は50歳からの挑戦で4年近くかけて取得しました。
介護福祉士を目指す方の勇気や参考になれば幸いです。
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