生活相談員

介護の仕事

生活相談員の仕事内容・資格要件は?

生活相談員は、利用者さんとそのご家族との相談調整業務を行うソーシャルワーカー。

厚生労働省令等の人員基準でデイサービスや特養、ショートステイ、有料老人ホームなどの介護事業所に配置を義務づけられている職務で、資格名称ではなく職種の名称です。

生活相談員になるには

生活相談員になるには以下の二つの方法がありますが、いずれも資格要件があります。

  1. 介護職員として現場で働きながら、勤務している事業所や施設の管理者から適切と判断され生活相談員を任命される。
  2. 生活相談員の求人に応募して採用される。

※未経験者でも求人はありますが、応募資格に生活相談員としての資格要件が必要とされています。

生活相談員の資格要件とは?

社会福祉法(第19条第1項各号)のいずれかに該当する者同等以上の能力を有すると認められる者生活相談員の資格要件になります。

社会福祉法で認められている生活相談員の資格要件

  1. 大学等において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目 を修めて卒業した者(社会福祉法第19条第1項第1号)
  2. 厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者 (社会福祉法第19条第1項第2号)
  3. 社会福祉士(社会福祉法第19条第1項第3号)
  4. 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者 (社会福祉法第19条第1項第4号)
  5. 精神保健福祉士(社会福祉法第19条第1項第5号及び社会福祉法 施行規則(昭和26年厚生省令第28号)第1条の2第1号)
  6. 大学において、社会福祉法第19条第1項第1号に規定する厚生労 働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて、大学院への入学 を認められた者(社会福祉法第 19 条第1項第5号及び社会福祉法施 行規則第1条の2第2号)

引用元:表1 社会福祉法で規定されている生活相談員の資格要件

同等以上の能力を有すると認められる者の生活相談員の資格要件

同等以上の能力を有すると認められる者の資格要件は、都道府県(自治体)により異なります

正確な情報は、事業所の所在地である自治体担当窓口で確認できます。

参考例:
  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護福祉士(経験年数を必要とする場合があります。)
  • 特別養護老人ホーム等で、介護提供に係る計画作成を、1年以上実務経験を有する者
  • 老人福祉施設の施設長を経験した方
  • その他(一定期間の介護職経験を有する等)

各都道府県ごとの資格要件の例

東京都では、老人福祉施設の施設長経験者も認めています。

1. 介護支援専門員(要介護者等が自立した日常生活を営むの に必要な援助に関する専門的知識及び技術 を有する者)

2. 特別養護老人ホームにおいて、介護の提供 に係る計画の作成に関し、1年以上(勤務日 数180日以上)の実務経験を有する者(介護の提供に係る計画の作成に関し経験のある者)

3. 老人福祉施設の施設長経験者(介護の提供に係る計画の作成や処遇等に、専門的な知識経験を有する者)

4. 通所介護事業所、通所リハビリテーション 事業所、短期入所生活介護事業所、短期入所 療養介護事業所、特定施設入居者生活介護 (外部サービス利用型を除く)の特定施設、 地域密着型通所介護事業所、認知症対応型通 所介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業 所(訪問サービスに係る実務経験は除く)、 認知症対応型共同生活介護事業所、地域密着 型特定施設入居者生活介護の地域密着型特 定施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護 老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養 型医療施設及び介護予防・日常生活支援総合 事業における通所型サービスにおいて、当該 事業所又は施設における介護に関する実務 経験が通算で1年以上(勤務日数180日以 上)あり、介護福祉士の資格を有する者(介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者)

生活相談員の資格要件について - 東京都福祉保健局

大阪府では、有資格者のみが認められています。

平成27年4月1日から通所介護及び短期入所生活介護については介護支援専門員を、また、介護老人福祉施設については介護福祉士・介護支援専門員を生活相談員として配置できることになりました。

居宅サービス等の種類生活相談員の資格
通所介護・介護予防通所介護
短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護
介護老人福祉施設
社会福祉主事、社会福祉士、
精神保健福祉士 
介護福祉士、介護支援専門員
大阪府 生活相談員の資格要件について

愛媛県では、介護福祉士であって2年以上の勤務経験が必要です。

【生活相談員資格要件】
 次の(1)から(4)の要件のいずれかに該当すること

(1)社会福祉士
(2)社会福祉主事任用資格(社会福祉法第19条第1項の規定による)
(3)精神保健福祉士
(4)その他、これらと同等の能力を有すると認められる次のア、イのいずれかに該当する者
ア 介護支援専門員(介護保険法第69条の2の規定により、介護支援専門員資格登録簿に登載されている者)
介護福祉士であって、当該事業を行う施設・事業所に常勤職員として2年以上の勤務経験を有する者

愛媛県長寿介護課 生活相談員の資格要件について

三重県では、資格の有無に関係なく1年以上の実務経験の内容 が県で認められればなることができます。

(1)社会福祉士
(2)社会福祉主事任用資格
(3)精神保健福祉士
(4)介護福祉士
(5)介護支援専門員 (6)その他、保健・医療・福祉について、1年以上の実務経験を有する者

三重県長寿介護課 生活相談員の資格要件について

福岡県では、無資格の方は介護施設での実務経験が3年以上あれば認められます。

(1)社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者

①社会福祉士

②精神保健福祉士

③社会福祉主事任用資格

(2)これと同等以上の能力を有すると認められる者

次のいずれかに該当する者

①介護福祉士

②介護支援専門員

社会福祉施設等(注)で3年以上勤務し又は勤務したことのある者

福岡県保健医療介護部介護保険課 生活相談員の資格要件について

このように都道府県(自治体)によって解釈がかなり違います。

厚生労働省では、「都道府県における認定実態等を踏まえ、社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者と同等以上の能力を有すると認められる者についても、認定が可能であることの周知を徹底する必要がある。」としています。

生活相談員の仕事内容

介護福祉士と体操をするおばあちゃん

生活相談員の仕事内容は、事業所・施設の規模や求めている業務内容によって様々です。

利用者さんとそのご家族の希望に応じて適切な介護サービスを提供できるための相談援助から、苦情の窓口、施設内の職員・ケアマネジャー・その他外部の関連機関との連携調整業務など多岐に渡ります。

入所・退所時における手続き、契約なども。また、現場での介護業務を兼務する場合もあります。

以下は、実際に多く実地している仕事内容の具体例になります。

  • 入所・退所に かかる業務や地域との連携に関する業務等
  • 入所時における入所者の心身の状況、生活歴等の状況の把握
  • 入所時における入所者・家族等の希望・意向の聴取
  • 入所における居宅介護支援専門員との連携やサービス調整
  • 生活に対する入所者本人の意志聴取
  • 入所者の生活に対する家族等の意向の聴取
  • 家族等への入所者の状態等に関する定期的な情報提供・報告
  • 苦情の受付・苦情処理に関する業務
  • 退所時における入所者・家族等の希望・意向の聴取
  • 退所時における入所者・家族等への情報提供やサービスの調整
  • 退所時における居宅介護支援専門員との連携やサービス調整
  • 退所時における行政や他の社会資源との協働・連携
  • 入所者の権利擁護に関する業務
  • 地域ネットワークへの参加
  • 地域における最新の社会資源情報の把握

参考:特別養護老人ホームの生活相談員と老人保健施設の支援相談員および介護支援専門員の役割について

生活相談員の人員配置基準は?

介護福祉施設では生活相談員を配置する人員基準が定めてられています。

デイサービス(通所介護)での生活相談員の人員配置基準

サービス提供時間中における生活相談員の勤務時間数の合計÷サービス提供時間数=1以上

となるように配置する必要があります。

(1) 計算の際は,サービス提供時間中の勤務時間のみを算入すること。
(2) 1人の生活相談員の勤務時間は、原則週40時間までとすること。

  • 営業日は毎日生活相談員が1人必要です。
  • 生活相談員は常勤である必要はありませんが、生活相談員又は介護職員のうち1人以上は,常勤職員を配置する必要があります。
  • 管理者と生活相談員は兼務が可能です。ただし、管理者は専従の常勤である必要があるため、デイサービス勤務時間はデイサービスでの業務以外はできません。

特別養護老人ホームでの生活相談員の人員配置基準

入所者:生活相談員=100:1以上の比率で配置

特養では、入所者100名に対して1人の常勤の生活相談員の配置が必要です。

その端数を増すごとに1人以上を配置する必要があります。

例)入所者合計60名の施設では、常勤の生活相談員は1名の配置が必要。
108名の入所者に対しては、2人の常勤の生活相談員を配置する必要があります。

  • 他に常勤の生活相談員がいる場合は、介護支援専門員(ケアマネジャー)と兼務することができます。
  • 専従規程があり、介護職員との兼務はできません。

生活相談員に必要な資質

生活相談員は利用者さんとそのご家族との信頼関係が重要な職種です。

そのため利用者さんが希望することを理解し、向き合うことができるコミュニケーション能力が必要です。

現場では担当職員、ケアマネジャーとの連絡調整、病院や他の介護事業所など関係機関との連絡調整業務も重要な仕事になりますので調整能力も求められます。

また、利用者さんの受け入れや退所に際し、契約などの事務手続きを行うこともありますので、事務的な仕事に対する実務能力も大切な資質です。

社会経験や人間力が求められるやりがいのある職種といえます。

生活相談員の働く施設・事業所は?

  • 指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 指定通所介護事業所(デイサービス、通所リハビリなど)
  • 指定短期入所者生活介護事業所(ショートステイ)
  • 指定特定施設入居者生活介護事業所(有料老人ホーム)

生活相談員は介護事業所・施設において運営上なくてはならない存在で、長く続けることができる職種です。求人も多数あります。

介護施設の種類については、別記事の「介護福祉施設の種類とサービスの特徴」でも詳しく解説しています。

生活相談員の求人情報を見つけるには?

介護職でお仕事を探すには、介護専門の転職エージェントを利用するのが便利です。

ご希望の条件やお持ちの資格に合わせて合わせて、経験豊富なコンサルタントがオススメの求人情報を紹介してくれるので安心です。ハローワークなどにない非公開求人も多数ありますので好条件の求人がみつかります。


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