介護職は、無資格・未経験でも働くことができる仕事です。しかし、資格を持っていると持っていないでは仕事内容や待遇面が変わってきます。
では、介護施設で無資格・未経験で働く場合の仕事内容、できること・できないことを詳しく見ていきましょう。
※介護福祉士を介護士と呼ぶこともありますが、ここでは介護に携わる介護職員全般を介護士としています。
介護職で無資格・未経験者の仕事内容は?
無資格の介護士の高齢者介護施設での仕事内容は、ヘルパーの補助やベッドメイキング、備品管理なども含め、さまざまな仕事があります。
無資格の介護士が働くことができる高齢者介護施設には、特養・老健・有料老人ホーム・グループホーム・小規模多機能・デイサービス・デイケアなどがあります。
部屋の掃除、洗濯、片付けなどの生活援助、車椅子やベッドへの移乗、食事介助、入浴介助、おむつ交換などの身体介護も資格の有無にかかわらずできます。
学歴や年齢よりも、介護の仕事に対する意欲やコミュニケーション力、知識と技術、責任感が重要視され、無資格でも働くことは可能です。
施設によっては、無資格でできる仕事をしてもらいながら、介護職の資格を取得してもらい、取得次第、仕事の範囲を広げるという方法も数多くとられています。
また、無資格で働きながら資格取得支援制度を利用して資格を取得できる事業所も多くあります。資格取得支援制度を利用すれば、資格取得の費用を、勤務先から補助してもらえます。
介護資格を無料で取得できる資格取得支援制度については、別記事の「無料で初任者研修・実務者研修を取得!資格取得支援制度がある介護スクール【6社比較】」をご覧ください。
ヘルパーステーションなどの訪問介護事業所(在宅介護)で働く場合は、最低限の資格である介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を取得してなければ介護業務はできません。 すなわち、就職する事ができません。
無資格の待遇面は?
待遇面では、資格を持っている介護士の方が無資格の介護士よりも優遇されています。資格を取得したことで、時給や基本給がアップするケースが一般的です。
介護の入門資格である介護職員初任者研修を取得することで、基本的な介護業務を行う上での知識や技術、それを行う際の考え方が身につき仕事内容の幅が広がります。
さらに実務者研修を取得すればサービス提供責任者、介護福祉士を目指すことができるので、キャリアアップにもつながります。
無資格で、できること・できないこと
基本的に、施設内での介護士の仕事では資格の有無によって仕事内容が変わる事はありません。生活援助、食事介助、入浴介助、おむつ交換などの身体介護は資格の有無にかかわらずできます。
無資格で、できないことは訪問介護と医療行為です。訪問介護(介護保険)としての身体介護はできません。
医療行為については資格を持っている介護士にも認められていませんが、一部の医療行為については研修修了者及び介護福祉士に認められています。
訪問介護は無資格ではできない
訪問介護は、介護保険法に基づく介護サービスであり介護職員初任者研修以上の資格保持者でないとサービスを提供することができません。
施設内の居室(居宅)であっても、訪問介護という名目では無資格の介護士がサービスを提供することはできません。(訪問介護という名目でなく、通常の業務としてなら問題ないです。)
理由は、訪問介護サービスが介護保険によって介護報酬を請求するサービスだからです。つまり無資格の方が訪問介護サービスを提供する行為は違法になるということです。
自宅に訪問する訪問介護は、旧ヘルパー2級や介護職員初任者研修、介護福祉士などの資格が必要になります。
訪問介護員の資格要件については、別記事の「ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容とは?必要な資格も解説」でも詳しく解説しています。
医療行為について
平成24年4月から、社会福祉士及び介護福祉士法の改正により介護職員等が喀痰吸引等の一定の医療行為が実施可能となりました。
できるようになった医療行為
- たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)
- 経管栄養(胃ろう又は腸ろう、経鼻経管栄養)
喀痰吸引等を行うことができる介護職員の条件は?
- 都道府県が登録した研修機関にて一定の研修を修了し、都道府県知事より認定特定行為業務従事者の認定証が発行された介護職員
- 介護福祉士
※介護福祉士については、平成27年度(平成28年1月の国家試験)以降の合格者が対象。
それ以前の合格者は実地研修を修了し登録申請が必要になります。
参考社会福祉振興・試験センター「実地研修を修了した喀痰吸引等行為」の登録申請について
Q: 実務者研修を修了したのですが、施設においてたんの吸引等をしても良いのですか?
A: 実務者研修を修了しただけでは、医療的ケア(たんの吸引等)は実施できません。基本研修(講義と演習)が修了しているだけです。
医療的ケアが実施できる認定特定行為業務従事者になるには、喀痰吸引等研修(第二号研修)の実地研修を受ける必要があります。
無資格の介護士ができる「医療行為でないもの」
平成17年の厚生労働省の医療行為についての通知によって、介護士が行うことができる「医療行為でないもの」が明確になりました。
- 水銀体温計・電子体温計による腋下の体温測定、耳式電子体温計による外耳道での体温測定
- 自動血圧測定器による血圧測定
- 新生児以外で入院治療の不要な者へのパルスオキシメータ装着(注1)
- 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について専門的な判断や技術を必要としない処置
(汚物で汚れたガーゼの交換を含む) - 軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く)
- 湿布の貼付
- 点眼薬の点眼
- 一包化された内服薬内服(舌下錠の使用も含む)
- 座薬の挿入
- 鼻腔粘膜への薬剤噴射の介助
注1:「パルスオキシメータ」は動脈血酸素飽和度(サチュレーション)を図る測定器のこと。
洗濯バサミの様な機器を指先に挟んで測定する
※1.2.3.:測定した数値結果を基に「薬を飲ませたほうがよい」「安静にしていたほうがいい」などの医学的判断は、してはならない。
※4.:専門的な判断や技術を必要としない処置に限定される。
※5.6.7.8.9.:事前に医師からの処方や薬剤師・看護師の指導助言を受け、その上で以下の3つの条件を満たしている場合に限定される。
条件1:利用者の容態が安定している。
条件2:医師や看護師による利用者の容態の観察が必要でない。
条件3:薬の誤嚥や坐薬による出血などの可能性がない。
無資格の介護士が、医師法や歯科医師法・保健師助産師看護師法の規制対象外となりできる行為
- 爪を切る事、爪やすりによるやすりがけ
- 歯ブラシや綿棒、又は巻き綿子などによる歯、口腔粘膜、舌に付着した汚れの除去
- 耳垢の除去(耳垢塞栓の除去を除く)
- ストマ装着のパウチにたまった排泄物の廃棄(肌に装着したパウチの取り替えを除く)
- 自己導尿の補助としてのカテーテルの準備、体位の保持
- 市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いた浣腸(注2)
注2:「ディスポーザブルグリセリン浣腸器」とは、使い捨てで挿入部の長さが5?6センチメートル程度、グリセリン量は成人で40グラム程度の物
※1.:爪と周囲に異常がなく、かつ糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合
無資格・未経験者が介護業界への転職先探しで失敗しないためには
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一括りに介護の仕事といっても、施設形態によって仕事内容や勤務形態はさまざまです。給料面も保有資格によって異なります。
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