第30回(平成29年度)介護福祉士国家試験の合格率は70.8%
過去最高の前年度より1.3ポイント低くなりましたが、70%台を維持し高い合格率になりました。
今回から受験資格となった介護福祉士養成施設ルートの合格率が88.0%と高く、全体の合格率を押し上げた印象があります。
受験者数は92 ,654 人となり前回に比べ1万6,331人増加、合格者数も65 ,574 人と前回に比べ1万543人増加しました。
速報NEWS
第31回(平成30年度)の介護福祉士国家試験の受験申し込み者数が昨年度から微増!
来年1月に筆記試験が行われる今年度の介護福祉士国家試験の受験申し込み人数は9万8,688人。9万6,247人だった昨年度(第29回 平成28年度)から2.5%、2441人増加しています。
第30回(平成29年度)介護福祉士国家試験の合格率
- 受験者数 92,654 人
- 合格者数 65 ,574 人
- 合格率 70.8 %
試験概要
- 筆記試験 平成30年1月28日(日)
- 実技試験 平成30年3月4日(日)
- 試験地 筆記試験 34都道府県 実技試験 4都道府県
- 合格発表日 平成30年3月28日(火)14時
参考:厚生労働省および公益財団法人社会福祉振興・試験センター
これまでの介護福祉士国家試験の合格率
第29回(平成28年度)では前年を14.2%上回り過去最高の72.1%となりましたが、第30回(平成29年度)の合格率は前年度より1.3ポイント下がり70.8%となりました。
実地回 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
第30回 | 92,654 | 65,574 | 70.8 |
第29回 | 76,323 | 55,031 | 72.1 |
第28回 | 152,573 | 88,300 | 57.9 |
第27回 | 153,808 | 93,760 | 61.0 |
第26回 | 154,390 | 99,689 | 64.6 |
第25回 | 136,375 | 87,797 | 64.4 |
第24回 | 137,961 | 88,190 | 63.9 |
第23回 | 154,223 | 74,432 | 48.2 |
第22回 | 153,811 | 77,251 | 50.2 |
第21回 | 130,830 | 67,993 | 52.0 |
第20回 | 142,765 | 73,302 | 51.3 |
介護福祉士国家試験の合格者の内訳
合格者の男女別比率
第30回の介護福祉士国家試験の合格者の男女比率は男性の比率が若干増え、女性が約7割弱、男性が約3割強となっています。
実地回 | 合格者数 | ||
男(割合) | 女(割合) | 合計 | |
第30回 | 19,906 人(30.4%) | 45,668 人(69.6%) | 65,574 人 |
第29回 | 16,244 人(29.5%) | 38,787 人(70.5 %) | 55,031 人 |
第28回 | 24,869 人(28.2 %) | 63,431 人(71.8 %) | 88,300 人 |
第27回 | 24,466 人(26.1 %) | 69,294 人(73.9 %) | 93,760 人 |
合格者の職種別の合格率・割合
第30回 介護福祉士国家試験 合格者の職種別割合
第30回の介護福祉士国家試験の合格者の職種別の割合では、老人福祉施設の介護職員がもっとも多く、受験者数は50,618人、合格者数は35,135人、合格率は69.4%、割合は53.6%となっています。
次に介護職員初任者研修・旧ヘルパー2級などを取得している訪問介護員の割合が15.1%となっています。
今回から介護福祉士養成施設ルートが受験資格となり、受験した6,420人のうち5,649人が合格、88.0%と高い合格率になっています。
職種 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | 割合(%) |
総数 | 76,323 | 55,031 | 72.1 | 100.0 |
介護福祉士養成施設 | 6,420 | 5,649 | 88.0 | 8.6 |
老人福祉施設の 介護職員等 | 50,618 | 35,135 | 69.4 | 53.6 |
障害者福祉施設の 介護職員等 | 4,632 | 3,568 | 76.9 | 5.4 |
保護施設・ 児童福祉施設の 介護職員等 | 754 | 609 | 80.8 | 0.9 |
その他の 社会福祉施設の 介護職員等 | 51 | 38 | 74.5 | 0.1 |
社会福祉施設の 介護職員等の合計 | 56,055 | 39,350 | 70.2 | 60.0 |
訪問介護員 | 13,848 | 9,899 | 71.5 | 15.1 |
介護老人保健施設の 介護職員等 | 6,452 | 4,072 | 63.1 | 6.2 |
医療機関の看護補助者 | 6,306 | 3,933 | 62.4 | 6.0 |
福祉系高等学校 (専攻科を含む) | 3,486 | 2,610 | 74.9 | 4.0 |
その他 | 87 | 61 | 70.1 | 0.1 |
「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、平成29年度(第30回)から、養成施設ルートが介護福祉士国家試験の受験資格となります。
なお、養成施設を平成33年度末までに卒業する方は、卒業後5年の間は、国家試験を受験しなくても、または、合格しなくても、介護福祉士になることができます。
この間に国家試験に合格するか、卒業後5年間続けて介護等の業務に従事することで、5年経過後も介護福祉士の登録を継続することができます。
平成34年度以降に養成施設を卒業する方からは、国家試験に合格しなければ介護福祉士になることはできません。
引用:公益財団法人社会福祉振興・試験センター
第29回 介護福祉士国家試験 合格者の職種別割合
第29回の介護福祉士国家試験の合格者の職種別の割合では、老人福祉施設の介護職員がもっとも多く、受験者数は43,876人、合格者数は31,933人、合格率は72.8%、割合は58.0%となっています。
次に介護職員初任者研修・旧ヘルパー2級などを取得している訪問介護員の割合が17.6%となっています。
職種 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | 割合(%) |
総数 | 92,654 | 65,574 | 70.8 | 100.0 |
老人福祉施設の 介護職員等 | 43,876 | 31,933 | 72.8 | 58.0 |
障害者福祉施設の 介護職員等 | 3,423 | 2,604 | 76.1 | 4.7 |
保護施設・ 児童福祉施設の 介護職員等 | 567 | 429 | 75.7 | 0.8 |
その他の 社会福祉施設の 介護職員等 | 42 | 33 | 78.6 | 0.1 |
社会福祉施設の 介護職員等の合計 | 47,908 | 34,999 | 73.1 | 63.6 |
訪問介護員 | 13,357 | 9,661 | 72.3 | 17.6 |
介護老人保健施設の 介護職員 | 5,602 | 3,872 | 69.1 | 7.0 |
医療機関の 看護補助者 | 5,464 | 3,545 | 64.9 | 6.4 |
福祉系高等学校 (専攻科を含む) | 3,899 | 2,882 | 73.9 | 5.2 |
その他 | 93 | 72 | 77.4 | 0.1 |
(注)「その他」は、介護等の便宜を供与する事業を行う者に使用される者のうち、その主たる業務が介護等の業務である者等である。
合格者の年代別の割合
第30回の介護福祉士国家試験の合格者の年齢別の割合では、41歳から50歳までの割合がもっとも高く、次に21歳から30歳までの方の割合が高くなっています。
前回から変化があったのは、〜20歳の割合が多くなっていることです。今回から介護福祉士養成施設ルートが受験資格となり、卒業予定者の受験者数が増えたからと考えられます。
全体的には、子育てなどが一段落して、再就職・パート先として介護職に就いている方が多い印象です。
年齢区分(歳) | 実地回 | 合格者数(人) | 割合(%) |
~20 | 第30回 | 5,481 | 8.4 |
第29回 | 2,477 | 5.0 | |
第28回 | 2,655 | 3.0 | |
第27回 | 2,678 | 2.9 | |
21 ~30 | 第30回 | 16,753 | 25.4 |
第29回 | 13,187 | 24.0 | |
第28回 | 20,042 | 22.7 | |
第27回 | 20,865 | 22.3 | |
31 ~40 | 第30回 | 13,679 | 20.9 |
第29回 | 12,393 | 22.5 | |
第28回 | 21,395 | 24.2 | |
第27回 | 23,275 | 24.8 | |
41 ~50 | 第30回 | 18,217 | 27.8 |
第29回 | 16,285 | 29.6 | |
第28回 | 26,826 | 30.4 | |
第27回 | 28,569 | 30.5 | |
51 ~60 | 第30回 | 9,693 | 14.8 |
第29回 | 8,903 | 16.2 | |
第28回 | 14,616 | 16.6 | |
第27回 | 15,501 | 16.5 | |
61 ~ | 第30回 | 1,751 | 2.7 |
第29回 | 1,516 | 2.8 | |
第28回 | 2,766 | 3.1 | |
第27回 | 2,872 | 3.0 |
合格者の都道府県別の割合
第30回の介護福祉士国家試験の合格者数は、大阪府が5,070人ともっとも多く、2番目に東京都の5,026人、三番目に神奈川県の4,388人となっています。
第29回から、東京都と大阪府が入れ替わりました。合格者数の総数は65,574人となりました。
都道府県名 | 第30回 (人) | 第29回 (人) |
1 北海道 | 3,341 | 2,809 |
2 青森県 | 894 | 689 |
3 岩手県 | 619 | 513 |
4 宮城県 | 1,061 | 921 |
5 秋田県 | 698 | 613 |
6 山形県 | 617 | 486 |
7 福島県 | 972 | 774 |
8 茨城県 | 1,164 | 872 |
9 栃木県 | 803 | 618 |
10 群馬県 | 1,041 | 782 |
11 埼玉県 | 3,278 | 2,939 |
12 千葉県 | 2,761 | 2,337 |
13 東京都 | 5,026 | 4,382 |
14 神奈川県 | 4,388 | 3,948 |
15 新潟県 | 1,245 | 1,033 |
16 富山県 | 578 | 448 |
17 石川県 | 640 | 508 |
18 福井県 | 457 | 320 |
19 山梨県 | 418 | 283 |
20 長野県 | 1,216 | 1,002 |
21 岐阜県 | 995 | 782 |
22 静岡県 | 1,902 | 1,696 |
23 愛知県 | 3,370 | 2,854 |
24 三重県 | 941 | 713 |
25 滋賀県 | 791 | 571 |
26 京都府 | 1,603 | 1,372 |
27 大阪府 | 5,070 | 4,357 |
28 兵庫県 | 3,167 | 2,615 |
29 奈良県 | 756 | 565 |
30 和歌山県 | 587 | 455 |
31 鳥取県 | 392 | 383 |
32 島根県 | 476 | 390 |
33 岡山県 | 1,256 | 958 |
34 広島県 | 1,551 | 1,248 |
35 山口県 | 680 | 673 |
36 徳島県 | 404 | 376 |
37 香川県 | 498 | 364 |
38 愛媛県 | 884 | 594 |
39 高知県 | 437 | 375 |
40 福岡県 | 2,530 | 2,190 |
41 佐賀県 | 440 | 382 |
42 長崎県 | 1,001 | 837 |
43 熊本県 | 1,089 | 912 |
44 大分県 | 817 | 694 |
45 宮崎県 | 758 | 649 |
46 鹿児島県 | 1,129 | 1,005 |
47 沖縄県 | 832 | 742 |
その他 | 1 | 2 |
総 計 | 65,574 | 55,031 |
(注)その他は、外国に住所を有する者である。
介護福祉士登録者
1,558,679 人(平成30年2月末現在)
介護福祉士 筆記試験の合格基準
第30回(平成29年度)介護福祉士国家試験の合格ラインになる合格基準点です。
筆記試験の合格基準
試験日:平成30年1月28日(日)
- 総得点125点に対し、得点77点以上
- 「11科目群」すべてにおいて得点すること
※全125門、1問1点です。
※毎年総得点の60%程度を基準として、その年の問題の難易度で補正されます。
実技試験の合格基準
試験日:平成30年3月4日(日)
筆記試験の合格者が実技試験を受験できます。
- 総得点100点に対し、得点60.00点以上
※毎年総得点の60%程度を基準として、その年の問題の難易度で補正されます。
実地回 | 筆記試験 | 実技試験 |
第30回 (平成28年度) | 77点 | 60.00点 |
第29回 (平成28年度) | 75点 | 53.33点 |
第28回 (平成27年度) | 71点 | 46.67点 |
第27回 (平成26年度) | 68点 | 46.67点 |
第26回 (平成25年度) | 68点 | 46.67点 |
第25回 (平成24年度) | 69点 | 53.33点 |
まとめ
介護福祉士国家試験の2016年度、2017年度の合格率は70%前半を維持しており、3大福祉国家資格の1つである社会福祉士(第30回:30.2%)やケアマネ試験(第20回:21.5%)と比べると比較的合格率が高い試験といえます。
第29回の受験者数は受験者数が急減。働きながら資格取得を目指す「実務経験」ルートでの受験資格に、最大450時間の「実務者研修」が加えられたことが要因とみなされています。
しかし、平成30年1月28日(日曜日)に行われた第30回(平成29年度)では92,654 人と第28回の6割にまで回復しました。
「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、平成29年度(第30回)から、養成施設ルートが介護福祉士国家試験の受験資格となりました。
平成33年度末までに卒業する方は、卒業後5年間の間に試験に合格しなければならないことが明記されたことによって、介護養成施設の卒業予定者の一部が国家試験を受験したため増加したと考えられます。
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保険外交員だった妻(以下、彼女)が50歳から転職して、宅食のアルバイトをしながら掛け持ちで介護施設で働き、4年近くかけて介護福祉士の資格を取得しました。現在は常勤パートのサービス提供責任者として頑張っています。 転職から介護福祉士の資格を取得するまでの流れ、必要な実務経験、勉強の仕方、試験の様子など…