介護職員初任者研修は、介護の仕事をはじめてから最初に取得するべき介護職の資格です。
どんな資格なんだろう?
取得するにはどうしたらいいの?
この記事では、「介護職員初任者研修」の資格の概要、受講について、取得するメリット、活躍できる介護の職場などについてご紹介しています。
介護職員初任者研修とはどんな資格?
「介護職員初任者研修」は、介護を行う上で最低限必要な知識や技術、そしてそれを行う際の考え方を身につけて基本的な介護業務を行うことができるようにするための研修です。
仕事への理解も深まり知識を得られることから、自信も持って仕事に取り組めるようになります。
2012年に厚生労働省が掲げる介護職のキャリアパスの明確化にともない、以前の「ホームヘルパー2級」の資格が2013年3月で廃止され、2013年4月から「介護職員初任者研修」としてスタートしました。
厚生労働省は、「介護職員初任者研修」を介護職の入り口に位置する研修と位置づけています。
また、介護職員初任者研修は訪問介護員(ヘルパー)として働くために必須の資格でもあります。訪問介護の業務に従事しようとする方は、「介護職員初任者研修」もしくは、「実務者研修」を修了している必要があります。
介護職員初任者研修の受講について
受講資格・条件は?
介護職員初任者研修は介護職が未経験の方、介護の基礎について学びたい方など、誰でも受講できる講座です。
民間委託職業訓練など受講対象者を限定している研修や事業者、学校等の在校生のみを対象とした研修もあります。公共職業訓練、求職者支援訓練対象の研修は、ハローワークで受講申込が必要です。
※詳細については各事業者にてご確認下さい。
何を勉強するの?
介護従事者として知っておくべき入門となる基礎知識を学びます。
介護職員として働くためだけではなく、排泄や入浴、移乗、食事(料理)介助など介護に関する専門知識が少しあるだけで身近な人の介護に大変役立ちます。
講座は難しい内容ではありませんので、勉強が苦手な方でも十分目指すことができます。修了試験はありますが合格率はほぼ100%で、初心者でも取りやすい資格といえます。
受講スタイル・コースは?
受講スタイルには、「通学講座」と「通信講座」の2種類がありますが、ほとんどのスクールが「通信講座」で開講しています。
スクールによって、短期集中コース、夜間開講のコースなどもあり、自分のライフスタイルにあったコースを選んで学習することができます。
「通学講座」はカリキュラムの全過程を通学で学習します。
「通信講座」は自宅学習+講義スクーリング(通学講習)を組み合わせて学習します。
講義スクーリングでは「座学」「実技」の講義を受講、実践的な知識と技術を身につけることができます。
- 座学:介護職の役割、障害の理解、認知症の理解など
- 実技:介護に関するからだのしくみ、生活と家事、居住環境整備、移動・移乗、入浴、総合生活支援、技術演習
受講期間(資格取得までの目安期間)は?
介護職員初任者研修の受講カリキュラムは130時間(10項目)。そのうち通信課程による学習時間は上限40.5時間となっています。
受講期間は「通学講座」か「通信講座」かで異なります。また、各スクールによっても違いがあります。受講期間内で修了が困難な場合は、無料で受講期間を延長できるスクールもあります。
働きながら取得を目指す方には「通信(自宅学習)+通学(実技スクーリング)」の併用学習がおすすめです。平均的な学習期間は、3ヶ月程度となりますが、短期集中の講座であれば最短3週間での取得も可能です。
完全通学制の講座の場合の通学日数は、平均29日程度が必要です。
ほぼ毎日通うことが可能な方であれば、1ヶ月から1ヶ月半で取得可能です。週2回程度の通学ならば4~6ヶ月位で取得することができます。
通学講座の場合、通学日数は平均29日程度で、ほぼ毎日通うことが可能であれば、1ヶ月から1ヶ月半、週2回程度で4~6ヶ月位で取得することができます。
通信講座(自宅学習+スクーリング)の場合、標準的な受講期間は3ヶ月〜4ヵ月程度となりますが、短期集中講座であれば最短3週間での取得も可能です。
受講費用は?
受講費用は各スクールによって異なります。最も安いところで20,000円〜から、平均的には50,000~70,000円程度、高いところで120,000円〜と幅があります。
教材や立地条件、振替授業、時期、修了後の研修などのサポート体制によっても価格が変わるので一概に比較が難しい部分もあります。
多くのスクールが割引制度やキャンペーンを導入していますので、一括で資料請求をして情報を集めることも大切です。
取得するには?
130時間の講義・演習と筆記試験による修了評価に合格することで取得できます。
介護初任者研修はどこで受講できる?
介護初任者研修は、厚生省令及び県が定める基準等に基づいて各都道府県から指定を受けたスクールが実施しています。
介護職員初任者研修 カリキュラム(研修内容)
介護職員初任者のカリキュラム(指導基準)は、厚生労働省の定めた指針に基づいて実施されるため、スクールで変わることはありません。
科目名 | 内容 | 時間 |
---|---|---|
1.職務の理解 | ・多様なサービスの理解 ・介護職の仕事内容や働く現場の理解 | 6時間 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 | ・人権と尊厳を支える介護 ・自立に向けた介護 | 9時間 |
3.介護の基本 | ・介護職の役割、専門性と多職種との連携 ・介護職の職業倫理 | 6時間 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | ・介護保険制度 ・医療との連携とリハビリテーション | 9時間 |
5.介護におけるコミュニケーション技術 | ・介護におけるコミュニケーション ・介護におけるチームのコミュニケーション | 6時間 |
6.老化の理解 | ・老化に伴うこころとからだの変化と日常 ・高齢者と健康 | 6時間 |
7.認知症の理解 | ・認知症を取り巻く状況 ・医学的側面から見た認知症の基礎と健康管理 | 6時間 |
8.障害の理解 | ・障害の基礎的理解 ・障害の医学的側面、生活障害、心理・行動の 特徴、かかわり支援等の基礎的知識 | 3時間 |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | ・基礎知識の学習 ・生活支援技術の学習 | 75時間 |
10.振り返り | ・振り返り ・必要に応じて、施設の見学等の「実習」 | 4時間 |
合計 : 130時間
※都道府県によって、内容が一部変更になることがあります。
全カリキュラムを修了し、筆記試験による修了評価(1時間程度)に合格すると取得できます。
介護職員初任者研修を取得するメリット
介護職員初任者研修を取得することで、さまざまなメリットがあります。
介護福祉士を目指す上で、段階的にステップアップできる
将来「介護福祉士」資格取得を希望する場合、「実務者研修」の受講が必須となっていますが、「介護職員初任者研修」を修了すれば、実務者研修の450時間のうち130時間(初任者研修受講分の130時間)が免除されます。
介護職に転職するのに、とりあえず早く介護の資格がほしいのであったり、介護の基礎知識、技能を学びたいのであれば介護職員初任者研修がおすすめです。
就職・転職時の優位性・給料アップ
介護施設では、できるだけ資格取得者を採用したいのが本音です。正社員募集では、初任者研修所持が応募条件に含まれている施設も多くあります。
介護職員初任者研修を取得していることで、就職・転職先の選択肢も広がります。訪問介護では、必須の資格です。
また、給料面でも無資格に比べて初任者研修取得者は資格手当があったり時給が高くなります。
参考
「介護職員初任者研修」保有者の平均給与額は30万1210円(令和2年2月)。無資格の職員の平均給与額は27万5920円なので、約2万5000円も差があります。
(参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」)
介護職で給料を上げる方法については、「介護職で給料アップ!『月収・年収を増やす』5つの方法」で詳しく解説しています。
将来の身内・家族・自身の介護にも役立つ!
研修を受講する方は、介護職への就職・転職を目指している方ばかりではありません。
将来的に大切なご家族を介護する際や、ご自身が介護される側になったときのことを考えて受講される方も大勢います。
介護職員初任者研修を取ったら、活躍できる介護の職場
介護職員の需要が高まっている現在、とくに「介護初任者研修」などの有資格者は、福祉施設・訪問介護ヘルパー・デイサービスなどさまざまな介護事業所から求められています。
正社員はもちろん、家庭とのバランスを図りながら働くアルバイトやパート、都合に合わせて働く登録型など就業形態を選ぶことも可能です。
待遇面や採用選考準を考えると「介護職員初任者研修」もしくは、「実務者研修」の資格を取っておいた方が絶対に有利です。
採用選考の際には「資格なし」の人よりは、 有資格者の方が絶対的に有利ですし、無資格者にはない「資格手当て」が給料にも反映される点においても、「介護職員初任者研修」の資格を取得することで選択肢も広がります。
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